真東寺@埼玉県
2月13日(土)
暑い程の冬の日、薄着でお礼参りに向かった。
お礼参りと言うと不良の仕返しをイメージしてしまうが、申年の寒い日にお砂踏みをした時の願いが叶ったので、また新たな願いを神様に押し付けようという、本当のお礼参りだ。
私は神様がいるのかいないのかはわからないし、特にこれと言って贔屓にしている宗教もない。
手を合わせる時には神様という不確かな存在より、ご先祖様のお墓参りにお願いするような気持ちで参っている。
お遍路は四国にある八十八か所の霊場を巡る事だが、お砂踏みによって短時間でお遍路したのと同じ功徳を得られる夢のような場所がいくつかある。
うるう年に逆打ち(お遍路を逆ルートで巡る)すると3倍のご利益がある、しかも申年ならそのご利益は5倍にもなるとかならないとか言われているというのを知ったのは、年の瀬も近い頃だった。次の申年でうるう年は60年後だ。真っ直ぐに歩けるかどうかもわからない。
今からじゃとてもじゃないけどお遍路に間に合わない!慌てた私は以前からお砂踏みの存在は知っていたので、それに賭ける事にした。
2016年の12月の事だった。
実行はクリスマス、渋谷のクラブ帰りに始発で埼玉にある真東寺に向かった。渋谷からはもの凄く遠かった。
願い事は4つ。友達の事、兄の事、おじいさんの事をお願いした。
全ての願いが叶ったのはお砂踏みから2年経ってからだった。
早くお礼参りに来なければと思いながらもコロナ騒ぎもあり、今に至る。
地図を調べたら、電車で行くより車の方が近いし早いようだったので今回は車で行く事にした。
途中、トイレ休憩で下仁田の道の駅に立ち寄ったが、朝早すぎてまだお店が開店していなかった。
真東寺に到着。
以前来た時よりもお堂が新しくなっていた。
住職にお砂踏みの参拝料(¥300)と御朱印代(¥300)を渡し、早速参拝。
お堂の脇にある赤い階段を上っていく。
前回は逆打ちだったが、今回はうるう年ではないので1から順にお参りしていく。
前日に銀行に行き5円玉に両替してきたので、お参りする毎に5円玉を置いて行く。
ちらほらと梅の花が咲いていた。
「やっぱり笑顔は気持ちいい」
大宝寺はちょっとした
ここに100円玉を入れる。残り時間2分
覗き込むと何が見えるかは行った人だけが知った方が良いだろう。
私は2分間眺め、終了して顔を上げた時に立ち眩みで後ろに倒れそうになったが、後ろはすぐに階段となっており、転げ落ちそうになってびっくりした。
まだまだ信仰心が足りていないのを見透かされているようだ。
金比羅山もある
ピンクの椿が可愛く咲いていた。
家にある母のお気に入りのピンクの椿もこんなに大きくなるんだろうか?
お釈迦様の足跡
いよいよ最後の八十八番。
全部回るのに1時間半位かかった。
所要時間はお願いごとの数に大きく左右されると思われる(私は今回はお礼+3つの願い事)。
中央には卍マークが。
「人間を冒涜して何の仏の教えがあろうか」この世界でもあの世でも、なかなか身分による差別が無くならなかった。宗派を超えて建てられた供養塔。
お砂踏みが終わり、住職の奥さんとしばしお話。以前来た時に元気だった黒猫は年を取ってなかなか外に出てこないとか。
行きの道中で見つけて帰りに寄ろうと思っていた登利平に立ち寄り、鳥めし松(¥830)をテイクアウト。
できるまでに10分位かかりますと言われ、店内はお昼時で混んでいたので車の中で待っていますと伝えて待っていたが、10分もかからないで受け取ることができた。
唐揚げも美味しそう。
家に帰ってから皆で食べた。美味しい。昔一度だけ人の食べているのを一口貰って、ずーっと探していた鳥めし。なかなか出会えなかった鳥めし。美味しかったし、今回は一口じゃなかったのが嬉しい。
帰り道に見えた荒船山。登ったことはないけど、どうやって登るんだろう?
スノーモービル@長野
2021年2月7日(日)
伊豆にタイを釣りに行けば偉い人から借りた釣竿を暗い海の底に落とし、スノーモービルに行けば借りたマシーンと共に崖にダイブしてしまう、やらかし系の私の冬の出来事。
2年前にスノーモービルにお誘いいただいたS氏から「今年もどう?」とお誘いいただいた。
昨年もお誘いいただいたが、暖冬とコロナの為に断念したので今年は是非とも参加したかった。
幸いコロナも落ち着いてきている。
9時にS氏に指定された場所で待ち合わせ、スタート地点である八千穂高原にあるロッヂ八ヶ根に到着。
駐車場に車を停めようとしたら小さな黒い犬がウロチョロしている。首輪とリードは付けたままだ。噛まれることはないだろうと安心しきって車から出た。
ロッヂのオーナーさんに聞いたところ、飼い主にも近寄らないらしく、逃げたままロッジ周辺にいるらしい。寝床はどこかにあるらしい。リードを付けたまま人とのディスタンスを保っているが、唯一S氏には懐いているようだった。甲斐犬の混血っぽい黒ちゃん。大人なのにとても小さい。
バイク用のヘルメットを持ってくることなどすっかり忘れていたので、ロッジのヘルメットを借りた。蕎麦屋の出前の人が被ってるような白いヘルメットだ。
S氏はスノーモービルを2台所有しており、前回同様高くて新しい方のモービルを私に貸してくださった。
ありがたいような、申し訳ないような・・・うまく乗りこなせない私でごめんなさいと、確かに2年前も思ったはずだ。
メンバーは私も含め前回の3人と、新しく若い男の子が2人いた(私は初めましてだったが、何回か一緒にツーリングしているようだった)。
早速ツーリング開始するも、エンジンすらまともにかける事のできない弱々な私だった事を思い出す。
エンジンがかかっても前に進まない。
アクセルってどうするんでしたっけ?と、必死に2年前の記憶を遡る。
(アクセルは右手側にあるハンドルのレバーを親指で押し続ける)
やっと動いたと思ったらすぐにツーリングがスタート。
前回は調子に乗ってスタックを3回ほどやらかしてしまったので、今回は慎重にノースタックを目標にしてみたが、なんと!スピードを上げなければ上げないでオーバーヒートしてしまうという事が判明。恐怖!
普段なら走りながらエンジンに勝手に雪がかかって冷えるのに、山は去年に引き続き雪不足で、走りだしはふかふかの雪ではなく締まった雪だったのもオーバーヒートになる原因でもあった。
所々で木の枝が垂れ下がり、上半身を曲げて通過するポイントもあるので思うようにスピードが上げられない。スピードが上がらないとオーバーヒートの警告ランプが付きっぱなしという状況に、私はとても焦っていた。
焦れば焦るほど右手の親指に力が入ってしまう。
若い男の子がふかふかの雪でスタックし、自分で這い出す事ができた。
その後を走っていた私は引き込まれるようにそのスタッグした道を通ってしまい、見事にスタック。スタックした場所は避けて通らなければならないらしい。
私は力がないからモービルの周りのふかふかの雪を足で固めることしかできなくてなんとも歯痒い。
地元の猟友会に所属しているS氏が鉄砲を背負っていた。
前回も背負っていたが鹿がいなかったので発泡する事なく終わった。今回は至る所に追われてきた鹿がたむろしていたので何度かその引き金を引いていた。
私が到着した時は既に発泡した後だったらしく、モービルを止めて皆が山の方を見つめていた。
S氏は後で回収すると言って先に進んだ。
お昼はメンバーの1人が所有している山小屋で焼肉やラーメンを食べた。
とても晴れた日で、春のような陽気だったので前回よりも寒くなかった。
お昼を食べた後に事件は起こった。
山小屋近くの真っ直ぐでふかふか雪の1本道、オーバーヒートに怯えていた私はスピードを出して進んでいた。
お昼を食べて満幅の頭で思考回路が停止していたのだろう。すぐにハンドルを取られてあっと思った時には木に激突した。
スノーモービルにはシートベルトがないので、衝撃で足を車体にぶつけた。
バックをして軌道修正する。
借り物のスノーモービルを木に激突させてしまって動揺してしまい、その後他の場所でも木に激突してしまう。
どちらも凄い衝撃だった。
悪い事は更に続く。
前回怖かった細い道を通る直前、ハンドルが取られて崖側にモービルごと転げ落ちた。
転げ落ちながらハンドルから手を放してしまった。
今思えば手を放しておかなければモービルの下敷きになっていたかもしれないが、崖の下はふかふかの雪だったので大丈夫だったかもしれない。
私の元を離れたモービルは崖を下っていく。
追いかけようと走り出そうとした時、上方から「危ないから行かなくていいよ!」と声が聞こえてきた。
私は立ちすくんで自由の身となった心のないはずのマシーンが崖を下っていくのをただただ見ていることしかできなかった。ほんの数10秒の出来事だったが、制御不能となったモービルが木に激突して大破し、新しいスノーモービルを弁償する事まで考えていた。
ところがラッキーなことに、ふかふかの雪の崖の途中でモービルが止まった。
S氏が慎重に崖を下って行き、モービルまで辿り着いた。
一旦下まで下りてスピードを上げて崖を登ろうとするも登れない。
S氏だけ下道で行き、途中で合流することになった。
私はS氏が乗っていたモービルに乗り換え、しゅんとして着いて行く。
私もびっくりしたけど、後ろから来る人たちの方がよっぽどびっくりしただろう。
スノーモービルに乗ったまま崖にダイブしてしまったんだから。
私なら「ミッションインポッシブルかよ!」と言ってしまうところだけど、何しろ借り物のスノーモービルで落っこちたのは私だ。不謹慎なのでとてもじゃないけど言えない。
下道から来たS氏と合流し、「すみません・・・」と平謝りするしかできなかった。
お昼前に仕留めた鹿を回収。
回収と言っても全体を回収するのではなく、鹿の駆除をした証に尻尾をナイフで切って持って行けば良いらしい。1頭仕留めれば¥10,000
猟をする期間も決まっていて、あと数日で期間が終わるとのことだ。
今回のツーリングで、一度だけ弾が立派な角を持った鹿に命中する瞬間を見た(私がトロトロ走っていたので、皆に追いついた頃には既に命中した後だった)。
命が無くなるのは一瞬の事だと、当たり前の事を思っていた。
今まで元気に動いていた命が目の前で絶たれるというのは、多分魚以外では見た事がなかった。
雪深い山の中を尻尾の回収に向かう。
鹿は息も絶え絶えだと思っていたが、ピクリとも動かない。血も殆ど出ていない。
S氏がナイフで尻尾をちぎっている。
「こんなに大きな体なのに、小さな弾が当たっただけ死んでしまうものでしょうか?」
私は不思議に思って思わず尋ねた。
「Sさんは腕が良いから1発で仕留められるんだよ」
山で育ち、普段から山に入っているS氏だからこその成せる業なのだろう。
ツーリング終了後、ロッジに戻ってきてオーナーに「どうだった?」と聞かれ、「崖から転げ落ちました」と言ったら目を丸くして驚いていた。
S氏がどの辺りで落ちたかをオーナーに説明した。
かつてあの場所で落っこちた女の子が、買ったばかりのスノーモービルをおじゃんにしてしまったらしい。その時は木に激突したんだとか・・・
雪がふかふかだったから良かったが、そうじゃなければ転げ落ちただけで廃車になっていただろう。命もなかったかもしれない。
帰り際、私はS氏に申告しなければならない事があった。
「Sさんの見ていない所で木にぶつかってしまいました」
どの辺がぶつかったか言いながらチェックしていると下の方のポールのような物が曲がっていた。
「弁償するので、直すのにいくらかかったか教えてください」
そう伝えたが、「大丈夫、大丈夫」と言ってS氏は笑っていた。
もう人から大事な物を借りるのは絶対に止めよう。
固く心に誓った。
数日後、広範囲で青タンになった脛
足もパンパンに浮腫んでいる。
浅草で買ったお気に入りの相撲靴下
振り返り@自宅
今年はお正月の茨城~栃木観光とセブに行き、あとはずっとイチャイチャしかしていなかった1年だった。
これほどまでにどこにも行かずにじーっとしていても苦痛にならなかったのは、私がアウトドア派とインドア派のどちらにも属さないタイプだったからということと、大好きな人の存在が大きい。
Amazonで鬼滅の刃を鑑賞する為、たくさんのおやつとアップルパイを持って妹の家に行き、甥っ子達とTVにかじりついていた。
ジムにも行かれず、自宅の周辺をウォーキングしながら大好きな人が働いている職場の近くを通る時、「どうかご無事で・・・」と心の中で祈った寒い夜の月を、「それでは行ってまいります」と、セブに行く前に手を振りあった時に見た大好きな人の笑顔を、私は死ぬ直前の走馬灯で再び見ることになるだろう。
毎年「静と動」で1年を振り返るが、今年は「無」だ。
揺れていた心の水面は鎮まり満たされている。
鉄砲玉のように行ったら帰って来ない私に帰る場所ができてしまった。
ここから動きたくないと思うことさえある。
それは良い事なのか?守りに入ってしまったのか?
何だかよわからないけど、何だかとても心地良いことだけは確かだ。
2日目@信越トレイル
9月20日(日)
3:00 起床
5時に出発したいと思って3時に起きて朝食作り。
前回はここでしくじった。5時に出発するつもりが5時に起きてしまったのだ。
食後に服を触ってみたらまだ湿っている。
タイツもズボンも1枚しかないので、半乾きのまま履いた。
靴下は替えを履いたけど、絶望的に濡れている靴を履いたら意味がない。そして、濡れた靴は足がふやけて靴擦れになり、歩けなくなる可能性もあった。
前回は靴が重くて大変だったので、今回は軽い靴を選んだが防水ではなかったのが悔やまれる。嗚呼この日の為にKEENのピレネーを買っておけば良かったと、昨日も歩きながら何度思ったか!
この濡れた靴を履きながらも靴下を濡らさない画期的な方法が1つだけあった。
靴下の上にビニール袋を被せ、それから靴を履くのだ。
ただし、靴の中ではビニールが滑って足を捻ったりする可能性があるので安定性にかける。
濡れた靴を履くのが嫌だったので、苦肉の策でチャレンジすることにした。
朝食を食べて荷物をパッキングしていた時、持ち上げたザックの重さに驚いた。
「あれ?食料は減ったのに昨日より重くなってる?」汗だくになった衣類、特に分厚い靴下が入っているのでそれもそのはず。
まだテントも撤収してないのにこんなに重かったら、テントを入れたらどんな事になってしまうのか・・・
出発の時間だったがまだ辺りが暗かったので、パッキングした寝袋を引っ張り出してもう一度うとうとする。
テントが朝露で濡れていたので、持って来ていたタオルで拭いたが、乾いている時よりもズーンと思い。
これで今日一日歩けるのだろうか?
6:00 野々海キャンプ場出発
トレイルの入り口でトレランの2人組に会った。いきなり天水山方面のトレイルから出てきてびっくりした。熊かと思った。
トレラン組は逆ルート側へ見る見る間に消えていなくなった。
7:10 6-5分岐
ザックが重い。死にそう。もう帰りたい。
でも、大好きな人の励ましを思い出して頑張った。
前回来た時には歩けなかったトレイルを歩いているのは楽しいし新鮮だった。
天気も良い。風もなく、良いトレイル日和だ。途中、中途半端な場所で休んでいる時、後方からガサガサと葉っぱの揺れる音がしたので「熊か!」と思って身構えたけど、昨夜キャンプ場で会ったソロ女性だった。咄嗟に腰の位置にある熊除けスプレーを出す事ができなかった。良い訓練になった。
8:10 6-3分岐
ザックが重い。死にそう。もう帰りたい。大好きな人に甘えたい。ちやほやされたい。
昨夜の大好きな人の励ましを思い出すも、これから先にあるエスケープルートを地図で確認してしまう私。下るなら宇津ノ俣峠だ。
心は既に下山の方向に傾いている。ザックが重い。でも、景色は最高。歩くのは楽しい。
平坦な道や上りは良いが、下りとなると靴の中で足が滑ってとても危険だ。
踏ん張ろうにも踏ん張れず、細尾根では滑落し兼ねない。
下りの時には足の指がギューッと靴のつま先に移動するので、足の指も痛い。
途中にとった長い休憩の時、靴下の上から被せたビニールを取り払った。
11:10 宇津ノ俣峠
峠とは言ってもトレイルの標識以外は何もない場所だった。
前回の時にはなかった膝や腰の痛みはない。
しかし、このザックの重さ。
ここで下ったら飯山の森の家方面に下山することができる。
2~3日早く大好きな人にも会える。昨夜電話で話したことで励まされたけど、余計に会いたくなっている。
エスケープルートを進むことに決め、1分も歩かないうちに草ぼうぼうのクモの巣だらけの道に怯む。
このエスケープルートを進むくらいなら頑張って歩いて今日の目的地であるグリーンパルへ行った方が得策なのではないか?
10分程悩み、やはりエスケープルートを下る。
このエスケープルートが大変だった。途中、小さな川を渡ったり、道を見失ったりして、何度も「本当にこの道で合っているのか?」「エスケープルートで迷ったりしたら、いよいよ今日はビバークじゃないか・・・」不安になりながら歩いた。
12:00 宇津ノ俣峠登山口着
広い畑に出た。畑以外何もない。
畑の隅っこを歩き、アスファルトの道に出る。
日陰もない乾いた道をひたすら下っていく。人もいなければ車も通らない寂しい道だが、秋の心地よい風が吹いて気持ちが良い。
何度地図を見直しても本当に自分は森の家に向かって歩いているのか不安になってくる。
道を聞こうにも誰もいない。
地図は見ているが、もはや勘で辿り着こうとしている。
誰の声も聞こえてこないが、とぼとぼ歩いていたら前方にマウンテンバイクに乗る親子が見えた。
12:45 飯山森の家着
中途半端な時間だったので森の家は静かだった。
観光客がぼそぼそと話している。
受付で野々海キャンプ場の使用料(¥1000)とトレイルの協力金(¥1000)を支払う。
「2回目の挑戦だったけど、今回もダメでした。荷物が重くて。やっぱり私にはスルーハイクは無理なのかな」と言ったところでこぼれてきそうな涙をグッと堪えた。
受付の方の、変に励ましたり同情したりすることなく、私のがっかりを静かに受け止めてくれたのが良かった。
ここから飯山駅までのバスがあるが完全予約制となっており、出発時間の1時間前までに予約をしなければならないと言う。
次のバスの時刻は14:30だったので、バス会社に電話をして予約を入れた。
今日泊まる予定だったグリーンパルに電話をして、リタイヤした事を告げると、電話に出たおじさんが「また挑戦してください」と言ってくれた。グリーンパルへ送った荷物は着払いで自宅へ送ってもらうことにした。
カンカン照りの外のベンチに座ってリンゴジェラートを食べ、それでもたっぷり時間があったのでバスがくるまでお昼寝をした。熟睡だった。
バスと言ってもワゴン車で、飯山駅まで乗客は私だけだった。
近いようで遠い。バスは1時間弱で飯山駅に到着。着いてから車内で料金(¥770)を払った。1時間以上バスに乗り、乗客も私だけなのにこんなに安くて申し訳なく思ってしまう。
駅に停めてあった車に乗り込み、駐車料金(¥600)を支払った。
温泉に入って帰る気もせず、ただただ眠かったけど下道で帰宅。
後日、ハイクで食べる予定だった自作のトレイルミックスは甥っ子や姪っ子にあげたら喜んで食べていたらしい。
9月22日(火)
大好きな人に会って「ゴールできませんでした。今回はいけそうな気がしたのですが、荷物が重くてリタイヤしてしまいました」と伝えたら「そっか」と言って「日曜日に帰って来ていたら連絡してくれたら良かったのに」と言ってニッと笑った。
そうそう、私はこの笑顔に会う為帰って来た。後悔はしていない。
本当は1人で歩くより2人でイチャイチャしていたかった。
電話で話していた、無事に踏破できたときに「考えておく」と言っていたご褒美は何だったのかまだ聞いていない。
それはいつかゴールできた時に知りたい。
1日目@信越トレイル
9月19日(土)
始発の飯山線に乗る。
うとうとしてたら、戸狩野沢温泉駅で車両を変更するようにと車掌さんに言われる。
電車の中から見る新潟方面はどんよりとした曇り空。
7:00 森宮野原駅出発
前回歩いた時と同じような天気。
歩いているうちに小雨が降ってきた。
途中、民家にいた方に道を聞く。前回と同じルートだけど、前回は少し遠回りしていたのか?同じ道なのか?記憶が薄れている。
キャンプ場の看板辺りでカッパを着る。
この道で合っているんだろうかと、やはり悩む。
前回間違えた道を、同じように間違える。
やっと正しい道に来たと思った時には既に8時を過ぎていた。
トレイルの入り口まで歩く人は少ないらしく、草がぼうぼうに生い茂っている。
こんなところで熊に遭ったらお互いびっくりするだろうなと思いながらたまに笛を吹いたりして歩いていると、茂みの奥から喉をゴロゴロ鳴らすような音が聞こえてくる。
葉っぱがかさかさ揺れているような気がしてくる。
笛を吹いて耳を澄ませる。
近い距離の茂みからゴロゴロ聞こえるような気がする。
まだ歩き始めて1時間半。
戻るか戻らないか立ち止まって考えた。
腰の辺りにある熊除けスプレーは、いざという時に落ち着いてスプレーできるだろうか?不安が過る。
熊は茂みから出てくる様子はないが、ゴロゴロという音はうっすらと聞こえてくる。
姿が見えないので先に進む事にした。
さっき道を尋ねた人は「もうこの時間ならいないと思うけど・・・」と言っていた。
ぐんぐん進んで、最後の最後に草ぼうぼうの茂みをかき分け、あっちこっちにバカを付けてトレイルの入り口に到着。
9:50 トレイル入り口
前回よりも背中のザックが軽いからぐんぐん歩ける。
雨も上がったのでカッパも脱ぎ、快適な山行。
天水山付近で水分補給していると、前方から1人のおじさんがやってきた。
少し話していたら、天水山にソロの男性がいたとのこと。逆ルートで歩いているらしいので、恐らく今後の日程も同じかもしれない。
1人じゃないと思うと熊に遭遇する心配も軽くなったような気がした。同期のようなものだ。心強い。
11:20 天水山到着
おじさんが言っていたソロの人はもういなかった。キャンプ場で会う事になるのだろうか?
てくてく歩いていると、座って柿の種を食べる人がいた。
「こんにちは。きついですね・・・」と言うこの人こそ、おじさんが言っていたソロの人だ。私にとっては同期だ。
「また後程!」と言って別れ、その後私が長めの休憩をとっている時に追い抜いていった。
13:00 深坂峠到着
前回来た時はガスッていて何も見えなかったが、今回は少しだけ眺望を望む事ができた。
ここからキャンプ場まで間違った道を10分位歩いてしまい、また引き返した。
湿原も、前回よりも遠くまで見渡せる。
13:20 野々海キャンプ場到着
さっきのソロ男性は既にテントを設営し終わった後のようだった(後から違う人のテントだった事が判明)。
テント設営→着替え→着替えを干す→昼寝
A型とは思えないような干し方は何年経っても変わらない。
昼寝から覚めるとテントが増えていた。
前回は1人だけだったから良かった。他にも人がいることの安心感。
もそもそ起きだし、夕食を食べたりトイレに行ったり水の確保。
汗だくの衣類は殆ど乾くことがなかったので、翌日のザックの重さが心配だった。
全ての準備を終えてからAmazonで買った獣除け線香に火を点ける。間違って煙を鼻から吸い込んたら逃げたくなるほどツーンと鼻の奥に唐辛子のパンチ。
夜、7時半頃大好きな人に電話をしてみるも出ない。
トレイルに挑戦することを何も言わずに出てきたけど、声を聞いて少しパワーをもらいたかった。
少ししたら電話がきた。
「トレイルに挑戦していて、23日に下山します。究極のダイエットになると思います」と言ったら「凄いじゃん!滑落するなよ」と、意外にも持ち上げてくれるので、いい気になって「最後まで歩き通せたらご褒美はなんですか?」とおねだり。なんかエロい事を言っていたので「そうゆうんじゃないやつ!」と言ったら「考えておく」と。
最後に「元気になれるような励ましをお願いします」「やればできる!」と活を入れてもらった。
やっぱり大好きな人からもらうパワーは違う。
心がホクホクしているので、そのまますっと眠りについた。
楽しみにしていたフクロウの鳴き声は聞こえなかった。もうこの森にフクロウはいないのかな?
夜:アルファ米のエビピラフ、豚汁、ポンせんべいにたっぷりのカスタードクリーム(少しスキムミルクが多かった)、コーヒー
行動食:オリジナルトレイルミックスを1/4しか食べなかった。やっぱり量が多すぎた。今後はどうやって消費していこうか?
パッキング@信越トレイル
日曜日の夜になってから信越トレイルのパッキングを始めた。
雨が降るようなら中止にするつもりだ。
今のところ微妙な天気予報。
雨なら雨、晴れなら晴れと、どちらかにしてほしいが自然なので仕方ない。
1番面倒臭いのは雨が降って中止にした時、再びパッキングした荷物を仕舞わなければならない事だ。
とりあえず持って行くものを並べてみた。
(左から)
テントのポールとペグ
マット
【上】夏用寝袋 【下】合羽の上下
【上】フライシート【下】50~60用ザックカバー
【上】テント【下】グランドシート
45Lザック
ザックに何か付いている。
最後に使ったのは1月のセブ旅行だったらしい。コロナ騒ぎの前だった。あのタイミングでセブに行かれた事は本当にラッキーだった。渡航が1週間遅れていたら私達だって感染していたかもしれない。遠い昔のように思い出す。
コロナ騒ぎが収まったら仕事を放り出して、半年くらいハワイに行きたい。
着替え類(左から)
【上】寝る時のズボン/下着【中】Tシャツ【下】長袖キャプリーン3
【上】ユニクロULダウン【下】薄手のフリース
前回トレイルを歩いた時は7月だったが、念のためと思って持って行ったフリースとULダウンは使用しなかった。信越トレイルの標高はだいたい1000m程なので普段私が住んでいる標高とさほど変わらなく、朝晩でもダウンやフリースを着るほど寒くはない。
今回は9月なのでフリース位は着るかもしれないが、ダウンはどうだろう?
写真にはないが、靴下の替えも持って行く。
道具系(左から)
【上】ガス【下】ストーブ/ライター
【上】コッヘル/マグカップ【中】ホイッスル【下】カトラリー/キッチンペーパー
【上】水に溶けるトイレットペーパー【下】ヘッデン
並べながらヘッデンを忘れている事に気付いた。ヒヤリハットが山へ入る前で良かった。
ホイッスルは定期的にピーピー吹いて熊に存在をアピールしたい。
朝晩の食事
水色の枠で囲ってあるのが4日分の朝食。これにプラスフランスパン1本。パンにはコンデンスミルクを付けて食べる。
4日間の夕食で1食はパスタにしようと思っていたが、トレイル上の水場が枯れている可能性もあるので全ての夕飯をアルファ米で済ませる事にした。
レトルト鰻を持って行って食べようかと思ったが、兄から珍しい鮭茶漬けを頂いたのでそちらに変更。皮ごとの鮭が入っているが常温でOK。
行動食と夜のおやつ
水色の枠で囲ってあるのが行動食。コンデンスミルク以外は全て5日分に分ける。分けた後で行動食が多すぎるかな?と思ったが、今回はお昼休憩を取らない予定なので少々多めでも良しとする。
ツルヤオリジナルのトレイルミックスはナッツとドライフルーツが入っていてまさにトレイルミックスという感じ。普段はこれだけ持って行く事が多い。
まだチョコレートが溶ける季節なので代替えのぶどう糖。
日持ちのするメイプルパンとコンデンスミルクは非常食なので、極力・・・非常事態でなければ手を付けない(ような気がする)。
スキムミルクカスタードクリームに使う牛乳の代替え。小分けにして持って行く。
食料を揃えている時、既にクリフバーが日本から撤退していて店舗で売られていない事に気付く。
アマゾンで注文しようかと思ったら並行輸入で受け取れるのが10月に入ってからだった。しかも箱買いしかできない。
困ったことになった。
以前からクリフバーの代替えとして考えていたヌーベル梅林道のくるみやまびこを今こそ発注する時か?(私はクルミのお菓子と言ったら鎌倉のクルミっ子、長野のくるみやまびこと思っている)
しかし、2泊目のキャンプ場へ食料を送るには水曜日には手元にないと予定が狂う。
一か八かで注文するか迷ったが、天気もどうなるか微妙だし、くるみやまびこを発注するのはやめた。
ならばSOYJOY系のバーでいいじゃないかと人は言うかもしれないが、あれ系の物を食べるとなぜか気持ち悪くなるのである日を境に一切口にしていない。
悩んだ結果、当初は重いから2個限定で持って行こうと思っていた小布施堂の栗羊羹を、クリフバー代わりに持って行く事にした。
コーヒーは日によって甘いのが飲みたかったりブラックが飲みたかったりする人なので、砂糖とミルクは別々に持って行く。
体力回復の為、ポカリの粉末も忘れてはならない。
清里@山梨県
スルーハイクでキャンプ場予約の問い合わせを信越トレイル事務局へしていた際、「事務局一同応援しております!」と言っていただいた。
女性ソロハイカーは珍しいのか、私が前回リタイヤした事を伝えていたからなのかわからないが、応援してもらえるという事はとても嬉しい。
「頑張れ!」と応援する事は頑張っている人によろしくないと言われる世の中になってきているが、私は「頑張れ!」と応援されたら俄然頑張って120%の力が湧いてくる単細胞だ。
これからも「頑張れ」と言われたいし、頑張っている人がいたら言いたい。
9月13日(日)
毎年サンメドウズ清里で開催されているハイライフ八ヶ岳というフェスがある。
2年位前にたまたま友達と訪れてた時に清里テラスがオープン日だったので立ち寄った際に知ったが、そのフェスでROCKのスペアリブが売られていたのには驚いた。
カレーで有名なレストランだが、清里での催事があると出店してスペアリブを販売しており、その肉を食べたいが為に毎年京都からはるばるM氏とO氏ファミリーが清泉寮の収穫祭にやってくる程の美味さなのだ。
今年は収穫祭が中止になってしまい、あの肉にはありつけないのかと残念に思っていたが、ハイライフ八ヶ岳は2か月遅れで開催されると知った。
その日からもう頭の中では肉の事しか考えていなかった。
フェスには参戦しない。
まだまだコロナが怖いから。
だけど肉だけは食べたい。
ならば肉だけ買いに行こう!
という事で肉だけを目当てに清里テラスまでやってきた。
9月の連休明けも感染が広がるかもわからないから、このタイミングを逃したらまたまた美味しい物を食べる機会がなくなってしまう。
午後から雨の予報だった。到着した時には辺りは霧に覆われていた。
私は前回来た時にリフト代(¥1800)を支払ってテラスまで上り、標高1900mのポストから手紙を出したりしてみたが、今日は数メートル先も見えない。このような天気でもリフト券売り場には列ができていた。
フェスの人達に交じってROCKのテントを探す。
ありました。
前回来た時は1000円位でスペアリブが3~4個入っていたが、今は700円で2本らしい。
迷った末、8セット購入。
このスペアリブを食べる為に遠路はるばるやってきたことや、毎年この肉を楽しみにしていること、今年は清泉寮の収穫祭が中止になってしまったこと等をスタッフのお兄さんと話していたら、「お肉、多めに入れておきますね!」と言ってくださった。
8セットのうち、1セットは少し離れた所に移動して座って食べた。
BBQをやった時に自分でもスペアリブに挑戦したりしているが、なかなかこの味に辿り着かない。
スペアリブを貪りながら考えていた。これを食べたらあともう2セット買い足しに行こうと。
食べ終えて再びROCKのテントに向かい、2セット購入。
先ほどサービスしてくれたお兄さんが「さっきの人?」と聞いていたので、「そうです、さっきの人です。足りないような気がしたので追加で買いにきました」と言った。
またまた肉を多めに入れてくださった。ありがたい。
これでまた1年頑張れそうと昨日の私は思ったが、全ての肉を食べ終わった今日の私は既にあの肉を欲している。
車に戻り、時間を確認したらまだ11:30だったので、一緒に来たS氏に「ここから清泉寮は近いから、ちょっと肌寒いけどソフトクリームを食べて帰りますか?」と尋ねたら乗ってきたので清泉寮に向かった。
晴れていなくとも肌寒くとも、ソフトクリームを食べている人達がいっぱいいた。
400円でソフトクリームを購入。
霧の中で貪る。
霧の中の清泉寮もまた風情があって良き。
晴れていれば向こうに富士山が望める。
晴れていればこんな感じに富士山が望める
ついでにROCKの店舗がある萌木の村の森のメリーゴーランド
撮影したのは2017年10月
野辺山にあるポッポ牛乳のソフトクリームを食べた。
ヤツレンからの景色
野辺山の滝沢牧場で動物とのふれあい
牧場から望む秋の八ツ