明日は会社休みます。

仕事を続けながら休日に旅をするOLのブログです。

スノーモービル@長野

2021年2月7日(日)

伊豆にタイを釣りに行けば偉い人から借りた釣竿を暗い海の底に落とし、スノーモービルに行けば借りたマシーンと共に崖にダイブしてしまう、やらかし系の私の冬の出来事。

 

2年前にスノーモービルにお誘いいただいたS氏から「今年もどう?」とお誘いいただいた。

昨年もお誘いいただいたが、暖冬とコロナの為に断念したので今年は是非とも参加したかった。

幸いコロナも落ち着いてきている。

 

9時にS氏に指定された場所で待ち合わせ、スタート地点である八千穂高原にあるロッヂ八ヶ根に到着。

駐車場に車を停めようとしたら小さな黒い犬がウロチョロしている。首輪とリードは付けたままだ。噛まれることはないだろうと安心しきって車から出た。

ロッヂのオーナーさんに聞いたところ、飼い主にも近寄らないらしく、逃げたままロッジ周辺にいるらしい。寝床はどこかにあるらしい。リードを付けたまま人とのディスタンスを保っているが、唯一S氏には懐いているようだった。甲斐犬の混血っぽい黒ちゃん。大人なのにとても小さい。

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バイク用のヘルメットを持ってくることなどすっかり忘れていたので、ロッジのヘルメットを借りた。蕎麦屋の出前の人が被ってるような白いヘルメットだ。

S氏はスノーモービルを2台所有しており、前回同様高くて新しい方のモービルを私に貸してくださった。

ありがたいような、申し訳ないような・・・うまく乗りこなせない私でごめんなさいと、確かに2年前も思ったはずだ。

メンバーは私も含め前回の3人と、新しく若い男の子が2人いた(私は初めましてだったが、何回か一緒にツーリングしているようだった)。

早速ツーリング開始するも、エンジンすらまともにかける事のできない弱々な私だった事を思い出す。

エンジンがかかっても前に進まない。

アクセルってどうするんでしたっけ?と、必死に2年前の記憶を遡る。

(アクセルは右手側にあるハンドルのレバーを親指で押し続ける)

やっと動いたと思ったらすぐにツーリングがスタート。

前回は調子に乗ってスタックを3回ほどやらかしてしまったので、今回は慎重にノースタックを目標にしてみたが、なんと!スピードを上げなければ上げないでオーバーヒートしてしまうという事が判明。恐怖!

普段なら走りながらエンジンに勝手に雪がかかって冷えるのに、山は去年に引き続き雪不足で、走りだしはふかふかの雪ではなく締まった雪だったのもオーバーヒートになる原因でもあった。

所々で木の枝が垂れ下がり、上半身を曲げて通過するポイントもあるので思うようにスピードが上げられない。スピードが上がらないとオーバーヒートの警告ランプが付きっぱなしという状況に、私はとても焦っていた。

焦れば焦るほど右手の親指に力が入ってしまう。

若い男の子がふかふかの雪でスタックし、自分で這い出す事ができた。

その後を走っていた私は引き込まれるようにそのスタッグした道を通ってしまい、見事にスタック。スタックした場所は避けて通らなければならないらしい。

私は力がないからモービルの周りのふかふかの雪を足で固めることしかできなくてなんとも歯痒い。

 

地元の猟友会に所属しているS氏が鉄砲を背負っていた。

前回も背負っていたが鹿がいなかったので発泡する事なく終わった。今回は至る所に追われてきた鹿がたむろしていたので何度かその引き金を引いていた。

私が到着した時は既に発泡した後だったらしく、モービルを止めて皆が山の方を見つめていた。

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S氏は後で回収すると言って先に進んだ。

 

お昼はメンバーの1人が所有している山小屋で焼肉やラーメンを食べた。

とても晴れた日で、春のような陽気だったので前回よりも寒くなかった。

 

お昼を食べた後に事件は起こった。

山小屋近くの真っ直ぐでふかふか雪の1本道、オーバーヒートに怯えていた私はスピードを出して進んでいた。

お昼を食べて満幅の頭で思考回路が停止していたのだろう。すぐにハンドルを取られてあっと思った時には木に激突した。

スノーモービルにはシートベルトがないので、衝撃で足を車体にぶつけた。

バックをして軌道修正する。

借り物のスノーモービルを木に激突させてしまって動揺してしまい、その後他の場所でも木に激突してしまう。

どちらも凄い衝撃だった。

悪い事は更に続く。

前回怖かった細い道を通る直前、ハンドルが取られて崖側にモービルごと転げ落ちた。

転げ落ちながらハンドルから手を放してしまった。

今思えば手を放しておかなければモービルの下敷きになっていたかもしれないが、崖の下はふかふかの雪だったので大丈夫だったかもしれない。

私の元を離れたモービルは崖を下っていく。

追いかけようと走り出そうとした時、上方から「危ないから行かなくていいよ!」と声が聞こえてきた。

私は立ちすくんで自由の身となった心のないはずのマシーンが崖を下っていくのをただただ見ていることしかできなかった。ほんの数10秒の出来事だったが、制御不能となったモービルが木に激突して大破し、新しいスノーモービルを弁償する事まで考えていた。

ところがラッキーなことに、ふかふかの雪の崖の途中でモービルが止まった。

S氏が慎重に崖を下って行き、モービルまで辿り着いた。

一旦下まで下りてスピードを上げて崖を登ろうとするも登れない。

S氏だけ下道で行き、途中で合流することになった。

私はS氏が乗っていたモービルに乗り換え、しゅんとして着いて行く。

私もびっくりしたけど、後ろから来る人たちの方がよっぽどびっくりしただろう。

スノーモービルに乗ったまま崖にダイブしてしまったんだから。

私なら「ミッションインポッシブルかよ!」と言ってしまうところだけど、何しろ借り物のスノーモービルで落っこちたのは私だ。不謹慎なのでとてもじゃないけど言えない。

下道から来たS氏と合流し、「すみません・・・」と平謝りするしかできなかった。

 

お昼前に仕留めた鹿を回収。

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回収と言っても全体を回収するのではなく、鹿の駆除をした証に尻尾をナイフで切って持って行けば良いらしい。1頭仕留めれば¥10,000

猟をする期間も決まっていて、あと数日で期間が終わるとのことだ。

今回のツーリングで、一度だけ弾が立派な角を持った鹿に命中する瞬間を見た(私がトロトロ走っていたので、皆に追いついた頃には既に命中した後だった)。

命が無くなるのは一瞬の事だと、当たり前の事を思っていた。

今まで元気に動いていた命が目の前で絶たれるというのは、多分魚以外では見た事がなかった。

雪深い山の中を尻尾の回収に向かう。

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鹿は息も絶え絶えだと思っていたが、ピクリとも動かない。血も殆ど出ていない。

S氏がナイフで尻尾をちぎっている。

「こんなに大きな体なのに、小さな弾が当たっただけ死んでしまうものでしょうか?」

私は不思議に思って思わず尋ねた。

「Sさんは腕が良いから1発で仕留められるんだよ」

山で育ち、普段から山に入っているS氏だからこその成せる業なのだろう。

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ツーリング終了後、ロッジに戻ってきてオーナーに「どうだった?」と聞かれ、「崖から転げ落ちました」と言ったら目を丸くして驚いていた。

S氏がどの辺りで落ちたかをオーナーに説明した。

かつてあの場所で落っこちた女の子が、買ったばかりのスノーモービルをおじゃんにしてしまったらしい。その時は木に激突したんだとか・・・

雪がふかふかだったから良かったが、そうじゃなければ転げ落ちただけで廃車になっていただろう。命もなかったかもしれない。

帰り際、私はS氏に申告しなければならない事があった。

「Sさんの見ていない所で木にぶつかってしまいました」

どの辺がぶつかったか言いながらチェックしていると下の方のポールのような物が曲がっていた。

「弁償するので、直すのにいくらかかったか教えてください」

そう伝えたが、「大丈夫、大丈夫」と言ってS氏は笑っていた。

もう人から大事な物を借りるのは絶対に止めよう。

固く心に誓った。

 

数日後、広範囲で青タンになった脛

足もパンパンに浮腫んでいる。

浅草で買ったお気に入りの相撲靴下

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