ノマドランド@フランシス・マクドーマンド
【ノマドランド】
リーマンショック後、企業の倒産とともに、長年住み慣れたネバダ州の企業城下町の住処を失った60代女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)。彼女の選択は、キャンピングカーに全ての思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。その日その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく。
常に物に溢れた生活から抜け出したいと思ってはいるが、ネット環境の整っている現代では毎日目に付くセールの文字。そして私のクローゼットには似たようなデザイン、似たような色の服が増えていく。車上生活をしながら季節労働者として働き、旅をする映画を観たら感化されて少しは物欲から解放されるかもしれない。
気軽な気持ちで観に行ったが、上映開始から間もなく「しまった!」と思った。
起承転結のない映画は俳優の表情をくみ取って何を想っているのかを想像するので頭を使う。
一部の人にしか理解されない車上生活をしながら旅をする彼女の誇りは十分に伝わってくる。
しかし、主人公の気持ちを汲み取るのには私にはまだ30年も早いような気がした。
時が経ち、私が60代になる頃にはファーンの気持ちがわかるだろうか?
まだまだ人生経験が少ない甘ちゃんだと思い知らされた映画だった。
悲しみや孤独を抱えて旅は続く。
人生も然り。
あなたはどこへでも移動できる
思い出は生き続ける
でも私の場合思い出を引きずり過ぎたかも
この生き方が好きなのは
最後の”さよなら”がないんだ
何百人と出会ったが一度も”さよなら”とは
私はただ「また路上で会おう」と
実際そうなる また会える
だから私は信じていられる
また会おう