キナバル山@ボルネオ島 5日目 登山②
次の海外登山はキリマンジャロにしようかと、漠然と思っていた。
ちょこっと調べるとキリマンジャロ登山に関わる情報が沢山出てくる。
渡航費も合わせればざっと50万は下らないだろう。
貯金ならある。しかし、50万もあれば新型ジムニーを買う時の足しにしたいと思ってしまう。
通っているジムでキナバル登山の話をした時、エベレストに挑戦したらどうかと言われたが、エベレストに挑戦するには1000万円~1億円位必要(どんぶり勘定)。
とてもじゃないけど自己負担するには額が多すぎる(新型ジムニー4~40台分)。
それを聞いていたジムの関係者が言った。
「ここのジムにスポンサーになってもらったらどうか?」と。
面倒くさがりの私にはCFのような集金は向いていない。これは夢に終わらないかもと思ったが、その前に高所恐怖症をなんとかしなければならない。
4月28日(日)
1:30 起床
朝食というか、夜食というかが2時からなので、だいたいの人がこの時間にわらわらと起き出す。山小屋の朝という感じ。静けさの中に生活音が聞こえる。
ざっくり荷物をまとめ、LAKENを持って食堂へ向かう。
同室のボーイズの1人が高山病の症状が出ているらしく、食欲がないと言っていた。
昨夜の夕食時にお話ししたKさんが座っていたので、相席させてもらう。
Kさんは昨夜、少し横になっただけで頭痛がひどくなり、ロキソニンを飲んだら治ったので夜はぐっすり眠れたらしい。今は頭痛もなく食欲もあるとのことだった。
ロッジの標高が2500m程。頂上が4000m。
標高を上げていった時に再び高山病の症状が現れたら、少し標高を下げ、様子をみる事と水分を沢山飲むように伝えた。頂上までは長蛇の列でたいしたスピードは出せないから大丈夫だろう。Kさんは2:30にロッジを出発した。
朝食後、売店でペットボトルの水を買おうとしたがまだ売切れだった。当たり前だ。外はまだ暗く、水を運んでくれる荷揚げのおじさん達もまだ寝ている頃だろう。
マグのお湯を注文すると、売店の女の子が「そのボトルに入れてこようか?」と聞いてくれたのでお願いする。RM1.5
部屋に戻るとボーイズは既に出発した後だったので、室内で登山用の服に着替えた。
トイレや廊下にも人影は少ない。
私の出発は3時と言われていたけど、本当に3時で大丈夫だったんだろうか?日の出までには頂上に着けるのだろうか?と心配になる。
3:00 食堂でマーガレットと待ち合わせて出発
思っていたほど寒くなかったので、長Tの上に半袖T、さらに薄いフリースを着ていた。
狭い階段を上っていく。
電池の少なくなったヘッデンは遠く離れた灯台の灯りよりも心もとなかった。
マーガレットが大きなヘッデンで私の足元を照らしてくれた。
たまに階段が広くなって2人位通れるスペースがあればマーガレットが「GO!GO!」と言って抜かしていいよと合図を送ってくる。
早い段階で暑くなってきたので汗をかく前にフリースを脱いでザックに閉まった。
4:30頃だったか、小さな小屋に着いた。ろうそくが何本も立っている。最終トイレもある。
登頂証明書を注文するかどうか聞かれたが作らなかった。
小屋を過ぎると今までの階段とは違い、一気に山肌を登っていく。
山全体が大きな一枚岩でできていて、その上を登っているような感じ。
所々ロープが張ってあり、あれば掴んで登ったが、日本の山の鎖場とはちょっと違う感じ。多分、ここを登っていくというルート取りの為と、下りの為のロープだったのだろう。
大きく蛇行して登れば大したことはないかもしれないが、頂上までほぼ垂直に登って行くので足首の角度的にふくらはぎに良いストレッチだ。
最初はしんどかったが、10分も歩けば慣れてきて歌を唄いたくなってきた。歌わなかったけど、頭の中で”You are my sunshine”を唄っていた。
5:30 キナバル登頂
頂上付近は記念撮影の順番待ちですごい渋滞だった。
マーガレットに写真を撮ってもらう。標高4,095mで浮腫んでパンパンの不細工顔をお見せできなくて残念だ。
なにしろ人がいっぱいでのんびりしている余裕はなく、記念撮影したらすぐに下山。
途中、同室のボーイズに会ったが1人足りない。
どうやら起きてから高山病の症状が出てしまった男の子が遅れているらしかった。
無事に登頂できるよう願いながら下山していたが、下山途中で会う事ができなかった。
数分毎に変わる空の色。
薄手のフリースの下にダウンを着ているのでマシュマロマンのようになっている。
途中、Kさんに会った。
疲れているようだったが、高山病の症状は出ていないとのことだった。
下山の時にはこれでもかという程マーガレットが写真を撮ってくれた。
普段はもっぱら撮る側なので照れる。
ジャンプして!と言われて撮った初めてのジャンプ写真。マーガレットのカメラ腕の良さよ!!
登頂証明書を発行するかどうか尋ねられた小屋まで到着。
振り返るとボルネオ島地震の爪痕が。山肌が大きくえぐれている。
登りでは辺りが暗くてわからなかったが、明るくなったらあちこちに山の崩れた後が見えたり、崩れた部分の大きな岩が転がっていた。
マーガレットに「マーガレットもその時ガイドしてたの?」と聞いたらその頃はまだガイドをしていなかったので無事だったが、救助活動には参加していたらしい。
シンガポールから来ていた小学生グループが被害にあって、怪我の手当てを手伝ったとのこと。
登山に訪れていた日本人の男性が小学生を庇おうとして亡くなっている。
私が初めてキナバルに登ろうと思った時はまだ地震が起こる前で、ドンキーイヤーズを楽しみにしていたが、耳も片方折れてしまった。だからマーガレットにどれが耳だったのか聞かなければわからなかったほど。
山に向かって目を瞑り、両手を合わせて下山。
帰りは色々なポージングで撮影会。
後ろに見えるのは長い長い階段。撮影の為ロープを握る。やらせ感たっぷり。
途中にある見晴らしの良いテラス
下の方に集落が見える
山小屋
山小屋に着くまでマーガレットがカメラを持って行ってくれたので、貴重な自分が写っている写真だが、 標高で顔がパンパン。見るに堪えない。
7:50 山小屋着 まだ1組しかいなくて静かな山小屋。
マーガレットに朝食を食べたら9:30に集合して下山開始しよう!と言われ、一旦解散。
朝食をもりもり食べた。
ホットケーキにはメイプルシロップ派だが、オレンジマーマレードしかなかった。少し苦い。大人の苦さ。ビーフンはおいしくてもっと食べたかった。今でも食べたい。
モンキーバナナは少しオレンジがかっていて濃厚な美味しさ。3本食べた。
街に出たらモンキーバナナを買いに行こうと思った。
朝食を食べていると続々と帰ってくる人達が増えてきた。
そこへ、2人組の日本人の方がやってきた。
「お疲れ様です」と言い合って、同じテーブルで一緒に朝食を食べる。
Mさんはお友達と来ていて、日本でも山に登っているというので、今度一緒に登りましょう!と意気投合し、連絡先を交換した。
同室のボーイズが帰って来た。高山病の症状が出ていた子も一緒にいたので、無事に登頂できたのだろうな。と思った。朝より顔色が良い。
玄関のドアが開く度に誰が下山してきたのか確認していたが、私が小屋に滞在している間にKさんとステファニーが下山してくる事はなかった。
あっという間に9時過ぎてしまったので、お二人に挨拶して部屋に戻る。
荷物をパッキングして階下に降りると沢山の人が下山して朝食を食べていた。
同室のボーイズに部屋の鍵を持っているかどうか確認し(昨夜の夕食時、誰も鍵を持っていなくて食堂にいる私に借りに来た)、お別れを言い、レセプションで部屋の鍵を返した。
小屋の下で記念撮影。小屋の標高は3,372m。(2,500m位だと勘違いしていた)
こう見ると、サングラスとダサい赤のスパッツがが国籍不明感を醸し出している。
階段の下りで股関節の痛みが出てきた。
登りでは全然痛くないからペースを緩めずに行けるが、下りでいつも痛くなってくる。
ゆっくりゆっくり下っていると、同室のボーイズが後ろからやってきて抜かしていった。
ふとマーガレットのザックを見ると、昨日はあんなに大きなザックを背負っていたのに今日はザックが小さくなっている。山に来る2回に1回は小屋で食べる自分の食料を荷揚げしているそうだ。
途中で、こっちこっちと呼ばれて行ったら大きなウツボカズラが咲いていた。
この袋の中には消化液体が入っていて虫などが入っているが、開ききる前の消化液を飲んだりするらしい(開くと衛生的に良くないのだろう)。
これはパピローサセロジネだろうか?
私があまりにも下山スピードが遅いので、マーガレットがガイド仲間とちょっと話などしている隙に頑張って距離を稼ぎ、木陰に隠れて驚かそうとするんだけど、ガシガシ下山してくるマーガレットに見つかってしまい、驚かすことができなかった。
マーガレットとした家族やピカチュウの話(こちらではカートゥンと言うらしい)、小さな蛇を怖がるマーガレットに「まだ赤ちゃん蛇だし、どうせ死んでるんでしょ?」と余裕をかましてストックで突っついたら蛇が動いて、2人して「ギャー!!」と驚いたりして楽しかった。
英語はどこで勉強したのか聞いたら、全て耳で聞いて覚えたとのこと。
本人は学校に行きたかったけど、お父さんに反対されて行かれなかったと。
日本では中学から英語の授業があって勉強する環境を与えられているのに、私ときたら英語を話せない。今まで何をしてきたんだろう?
勉強しなくても英語を話せるってすごいな。
この辺りに学校があるのかどうかわからないけど、ないなら建てたいなと思った。
あと少しで登山口という所に小さな滝があって、暑かったから顔を洗った。
もうLAKENに残っている水はなかった。普段なら下山中にあまり水を飲まないが、暑くて湿気があるから足りない位だった。
登山ゲートの上は見晴らし台みたいになっていて、そこにいた数人の観光客の人が「Congratulation!!」と言って迎えてくれた。
登山口に待っていたバンに乗り込む。他の下山者を待っている間、2日間首から下げていたネームプレートの写真を撮った。
13:00 レセプションに到着
マーガレットと写真を撮った。似たような背丈。姉妹のようだ。
レストランで昼食を食べる。これも代金の中に含まれている。
2人はこの後サンダカンへ行くとのこと。
食べ終わってふと他のテーブルを見ると、山小屋で話したMさん達がご飯を食べていたので、その後、1人で来ていたKさんが下山してきたかどうか尋ねたら、山小屋で下山してきたKさんと話をしたとのこと。怪我もなさそうで良かった。
少し話してからレセプションに預けてあったスーツケースを受取りに行った。
コタキナバル行きのバスがなかなかなくて、タクシーだとRM200だと言う。
公園を出た所にあるタクシーの運ちゃんに聞きに行ったら、町のホテルまで送ってRM32でいいよと言われた。
また公園に戻ってくる。
食事を終えたMさん達はツアーだったので、コタキナバルまでの往復もツアー代金に含まれていた。Mさんが気を利かして、私もツアーの人達と一緒に町まで行けないか聞いてくれたらしいが無理だった。
「Kさんも1人で来ていて帰りの交通機関の事を心配していたので、Kさんが下山して来るまで待ってみます。」と言って、Mさん達と別れた。
Kさんを待っている間、タクシーの運ちゃん達の事務所前でスーツケースに入っているペットボトルを出したりして待っていると、タクシーの運ちゃんがR180でどうだ?と交渉してくる(最終的にRM150まで勝手に下げてくれた)。
日本人の女性が帰って来るから、その子を待っている旨を伝えて断った。
汗をかいた服を着たままだったので、一瞬だけトイレに行って着替えてこようと、着替えを持ってトイレに行った。
帰って来ると運ちゃんが指を差す方向にKさんがいた。
数時間ぶりのKさんとの再会を2人で喜び、運ちゃんに感謝する。
Kさんと、ヨーロピアン風のカップルと4人でシェアし、コタキナバル行きのタクシーに乗った。MR40/人
コタキナバル手前で結構な雨が降ってきた(すぐに止むだろうと思ったが街に着いても激しく降っていた)。
暗くなってきてからの1人歩きは危ないからと、Kさんのホテルに着いてから2人で私のホテルへ歩いて移動しようという話になっていたが、ベルボーイの男の子と話をしていて、流れでGrabという配車アプリでタクシーを呼んでもらえることになった。
タクシーが来るまでKさんと連絡先を交換し、次は九重連山に一緒に登りましょう!と言って別れた。
歩けば20分位の距離で運賃RM6だった。
ホテルでチェックインし、洗濯機を回しながらシャワーを浴びた。
洗濯物を干してもまだ外では本降り。近くの大型スーパーへ買い物に行くついでに夕食を食べようと思って繰り出した。
来た道を忘れないように曲がり角や通りの残像を頭に残そうと思うが、眠くて残せない。
薬局やスーパーで買い物をし、さぁ、夕飯を食べようと思ったが、店が閉まっている。
スーパーの入り口にはシャッターが下りていたりして元来た道に戻れない。
そういえばこんな感じの夢を渡航前に見たなぁなんて思いながら目をしょぼしょぼにして歩く。
やっとのことで軌道修正して帰ったが、夕飯は食べれなかったのでスーパーで買ってきたカップラーメンを食べて眠った。