本沢温泉@長野県
「そろそろ夏だし、ボディースクラブでもするか」
ボディースクラブの意味もわからず、何年も前に異国で買ったボディースクラブを見つけてきてお尻に塗ってみた。
若干油っぽいような気はするが(古いし)気のせいだろう。
洗い流した後でまた後日他の部分をスクラブするのが面倒くさいと思った私は足にも塗ってみた。
古いボディースクラブはまるで冷蔵庫から出したばかりのバターのよなテクスチャーで足にまとわりつき、石鹸でごしごし洗わなければ落ちなかった。
「何か違う気がする」
ようやく気付いた私は、人生で2度目のボディースクラブを捨てる事にした。
浴室の洗い場は何かの油でヌルヌル。
この後入る母が転んだりしたら大変なので、裸一貫で風呂掃除をする羽目になった。
死んだ目でボディースクラブの英字を読み取る。RiceとNatureと書かれていた。Butterという文字は入っていなかった。
2012年1月
また本沢温泉かよ・・・と自分でも思うが、今のところ稲子湯から本沢温泉へ続く登山道が1番好きなのだ。
自然は季節毎に違った顔を見せてくれるので、気に入った場所は何度も訪れてしまう。
そんな本沢温泉を初めて訪れたのは雪深い1月の頃だった。
午後、雪がもっさり積もった稲子湯に集合し車を停める(¥600/日×2日分)。近年は暖冬なので1月初旬にここまで雪が積もる事は少ないかもしれない。冬はこれくらい雪がないとつまらない。
この日は特別に本沢温泉の出してくれた雪上車で途中まで向かう。20分位で分岐に到着。
雪上車を降り、スノーシューに履き替えて本沢温泉までは徒歩で30分位で到着。
なんて楽をしてしまった山行か。荷物もいらない物までたっぷり持ってきた(これが後々大変な山行となる)。
ザックを置いてすぐに野天風呂に向かった。
S氏が野天風呂の脇に一時的にテントを立ててくれたので、温泉から出た後はそこで着替えることができた。お姫様か。
野天風呂から帰ってきて夕飯の前に内風呂にも入った。
その時は山小屋の入り口近くにある小さな掘っ立て小屋に内湯があった。
小屋泊だったので夕飯も皆で食堂に集まって食べた。鍋を食べた事とS氏が持ってきた日本酒を飲んだことは覚えている。
夕飯後は部屋に戻って再び宴会開始。と言っても騒いだりするわけではなく、薄暗い部屋の炬燵にあたって誰かが持ってきたお手製の梅酒をちびちびすすり、談笑する程度。この時にいただいた手作りの紀州の梅酒が美味しくて、その後、私の紀州の梅酒作り人生を形成するきっかけとなった梅酒だった。
小屋は混んでいるかもしれないからと寝袋も持参し、寝るときは寝袋に入ってその上から布団をかけたが、とても暑くて夜中に寝袋から這い出た。
翌朝、朝食を食べてから夏沢峠までお散歩。
その頃私がスノーシューを買うかわかんを買うか迷っていたら、S氏がわかんを用意してくれたので、お散歩はわかんで行く事にした。
ふかふかの雪上での浮力はスノーシューの方が優れているが、軽量コンパクト、コスパ、履いたまま後ろにも下がれる点はわかんの方が良い。
標識の先には硫黄岳。でも今日はこのまま引き返す。
これは天狗岳か?いつまで経っても山の形を覚えられない。
本沢温泉まで引き返す。
下山開始。帰りはしらびそ小屋経由で下山。
下山中、「行きは雪上車に乗るから楽ができるし!」と色々(大きいバスタオルなど)持ってきた事を初めて悔やみ始める。
背中のザックはまるで子泣きじじいのようにずしりずしりと重くなってくる。
登りでは1歩1歩足を踏み出すのにも時間がかかる。
嫌~な汗をかきかき、やっとしらびそ小屋に到着。
S氏がおしるこを作ってふるまってくれた(どおりでザックが大きい・・・)。すごく食べたかったのに、段々とお腹が痛くなってきて吐き気もしてきて一口も食べられなかったのが悲しい。
念願だったしらびそ小屋に来れて満面の笑みを浮かべる私。顔は笑っているが、顔色がすこぶる悪かった。
教訓:いらない物は持って行くな