わたしに会うまでの1600キロ@リース・ウィザースプーン
姪っ子が小学校を卒業した。
毎年桜を見ながら「来年の今頃はどんな気持ちで桜の木を見上げているだろう?」と多少センチメンタルにもなるが、来年の自分はそのまた来年を想像していて、「去年の今頃はあんな気持ちで見上げていた」とはならない。
恐らく”その時の気持ち”は、寒い中で食べる熱々のおでんに全て持ってかれるからだろう。
人間とは忘れる生き物故・・・
砂漠と山道を徒歩で旅することにしたシェリル(リース・ウィザースプーン)。旅をスタートさせる少し前、シェリルは母の死を受け入れられず、薬と男に溺れる日々を送り、結婚生活は崩壊してしまう。シェリルは人生について思い直し、自分自身を取り戻そうと決意。こうして彼女は旅に出たが、寒さが厳しい雪山や極度の暑さが体力を奪っていく砂漠が彼女を苦しめ……。
かつてキューティーブロンドという映画でリース・ウィザースプーンからパワーをもらったことがある。
その彼女が、ロングトレイルを歩く映画に出演。
JMT(ジョン・ミューア・トレイル)を女優の小島聖さんが挑戦しており、リアルタイムで彼女のブログを読んでいた私は海外のロングトレイルに興味を持った。
毎日の食事や行動食を細かくメモし、その後「野生のベリージャム」という本にまとめられていた。その記録は簡潔で分かりやすく、私も登山の時の参考にしている。
それからしばらくしてこの映画が上映されることを知ったが、地元の映画館では上映されず、たまたま東京へ行った時、山登りを始めてまだ日の浅い友人を誘って吉祥寺の映画館へ行った。
できれば私よりも友人に観て欲しいという思惑があった。
友人はやはり、私より先に泣いていた。
帰宅途中、本屋に寄って原作を買ってしまった。
山に登ったことがないような女性が1人でロングトレイルを歩く。
履いている靴が合わなくて足の爪が剥がれ、テントを組み立てられず、道具選びを間違えて火を起こせずに水で溶いただけのオートミールを食べる。
色々持ってき過ぎてモンスター化したザックで歩く主人公のシェリルは、無事にPCTを歩き切る事ができるのか?
映画には女性が1人でロングトレイルを歩く事の怖さも描かれている。
よくありがちな「自分探し」の映画とは違う。
「自分と向き合う」のだ。過去の過ちや自分と向き合いながらひたすら歩いているが、決して後ろ向きではない。
PCTを歩いてみたい。そして何より、シェリルのように食料の買い出しや荷物を受け取りに町へ下りたときに冷たいスナップルを飲むという体験がしてみたい。
ロングトレイルや山の縦走では食事位しか楽しみがないのだ。
勇気が君を拒んだらその上を行け
美しさの中に身を置く
よく1人で平気だったね。仲間がいても寂しくなるのに。
気にするな。俺は挫折の連続だ。
これが私の人生よ。今は休暇中。
私は過去を受け入れる。後悔はしない。もし時が戻ってもきっと同じことをするだろう。過ちがあったからこそ今の私がある。