八ヶ岳ブルー
Jinsで度付きサングラスを作った。
フレームが5000円、レンズが5000円で10000円だった。
もう1本購入で高い方が20%引きになりますと言われ、普段使いの眼鏡も購入しようか迷ったが、余計な買い物だと思いなおし、サングラスだけ購入。
その2週間後、普段使いの眼鏡を踏んでしまったのでネット購入限定の20%引きのクーポンを使い、眼鏡を購入しようとクリックしかけた。
が、ひょっとして壊れた眼鏡をアロンアルフアでくっつけたら使えない事はないかもと思い、やってみた。
不幸中の幸いで、つるの部分がパキッと割れてしまっただけなのでアロンアルフアでくっつき、今まで通り使えるようになった。これで7000円の出費が抑えられた。
当たり前だが、アロンアルフアでくっつけた部分は折りたたむことができないのでコンパクトにはならない。
もちろん眼鏡ケースになぞ入らない。
初めて作った度付きサングラスは妹には「粋がってるように見える」と言われて、課長からは「年齢がぐっと上がったように見える」と言われ、泣きたいような気分だ。
脚が痛くなければ毎週末山でのトレーニングをしている。
土曜日は晴れの予報なので八ヶ岳ブルーの空を拝められるだろう。
しかし、日曜日はもしかしたらお昼頃から雨になるかもしれぬ。
迷ったが、日曜日はお昼までに下山すればなんとか雨に降られずに済むかもしれないと思い、決行することにした。
今まで使っていた山の湯たんぽ代わりのアルミボトルは小さいし注ぎ口が狭いので、アマゾンで新調することにした。
私は非プライム会員なので、2000円以下の品物はいつも課長(プライム会員)に頼んで代行で買ってもらっている。
金曜日に届いたアルミボトルはLAKEN(¥1,512込)0.75ℓ。
ピンクが欲しかったが、アマゾンで売っているのが黄緑色だった。
でも、届いてみると遠くスペインからやってきたこのガチャピン色がかわいく思えてきた。これに替えの靴下を履かせて湯たんぽにしたら冬山でも無敵な気がする。
久しぶりに厳冬期の雪山のテン泊なので、できるだけ早起きして山に向かった。
前夜にパッキングを済ませた。今回のメインは夕飯に鍋を食べる事だ。コースは稲子湯⇒みどり池⇒中山峠⇒黒百合ヒュッテ(テン泊)⇒天狗岳というルートで行こうと考えていた。
日曜日に雨になる事を考えて、土曜日のうちに天狗に登っておきたかった。
黒百合ヒュッテでテントを設営してから天狗に向かうつもりだ。
汗をかかないようにゆっくりのペースで登らなければならないので、お昼までに黒百合ヒュッテに着かなければ今日の天狗は諦めようと思っていた。
冬場は麦草峠は積雪で車が通れないので、黒百合ヒュッテに行くには渋温泉からスタートする人が多いらしい。渋温泉から黒百合ヒュッテまでは1時間半~2時間もあれば着くだろう。
なぜ私がマイナーなルートの稲子湯からスタートしたか?
それは稲子湯の上にある駐車場が無料だという理由からだった。
当日、稲子湯の上の駐車場をスタートし、みどり池まで向かった。
途中、男性の2人組がつるつる滑りながら、たまにこけたりしながら登っている。
足元を見るとアイゼンを付けていない強者だった。
ここまでの道のりも相当凍っていたがよくここまで来れたなと思うのと、登るのも大変なのに下れるんだろうかと思った。アイスバーン化している登山道はアイゼンを付けていても油断できず慎重になる。
みどり池までは先月もトレーニングで来ているので割愛。
みどり池のベンチでは8人位が休んでいたが、いつもより人が少ないなと思った。
少し汗をかいてしまっていたので、ゆっくり休憩は取らず先に進むことにした。
10分程歩くと本沢温泉と中山峠の分岐に差し掛かる。
中山峠の方面はマイナーとは言っても道ができており、本日も先人によってラッセルされていた。ありがたい。
しかし、分岐からは顕著に雪質ががらりと変わった。
それまでは締まってい雪がサラサラになり歩きづらい。
みどり池でトイレに行っとけば良かったなぁと思いながら歩く。
この辺りから背負っているザックの重みが肩にずっしりと食い込み、まるで子泣き爺を背負っているような感覚になってくる。
「あいつめ~!!」と、ザックに入っている夕飯の鍋の具である豚肉や生卵の存在を憎む。
でも、まだ登れる。
私の脚がピタリと止まったのは、崖を見上げた時だった。
これが中山峠か!峠という名に相応しい崖!
2カ所ほど小さい雪崩の跡がある。
崖の中腹まで登り後ろを振り返った時、あまりの標高に脚がすくんだ。
遠くの山々が見える。一歩踏み外すと滑落して無傷ではいられないだろう。
崖の途中でザックを下ろし、天蓋のポケットに入っている携帯を取り出して記念撮影。
ザックを再び背負うと、その重みで転がり落ちそうなほどなので慎重に行動した。
見上げるとあと20mも登れば稜線に出そうだ。
明日も同じルートでこの崖を下らなければならない。この重たいザックを背負ってこの崖を下れるだろうか?
高所恐怖症の私には無理だと思った。
山に登っていて2回目のリタイヤをすることにした。
高所恐怖症が原因で初めてリタイヤしたのは3年前の阿弥陀岳だった。
あの日も無風で雲一つない八ヶ岳ブルーの空だった。
下山しながら考えた。
今の時間(10時頃)なら分岐に戻って本沢温泉でテン泊する?でも今日は水着を持ってきていない。
しらびそ小屋でテン泊?昼前に着いてしまいやることがなさすぎる。
明日は雨が降る予報だから、このまま無理矢理テン泊しても帰ってからの後片付けが大変だ。主にテントを干したり寝袋を干したり。
面倒臭がりの私は日帰りして日曜日は家で過ごすことにした。
調子の悪いカメラをボルネオ島に行く前に修理に出しておきたかったし・・・。
よって、夕飯に食べる予定だった鍋は下山途中で食べる事にした。
白菜、えび、ワンタン、しめじ、えのき、豚肉が入っているコッセルに水を注いで温める。
鍋キューブも個包装から出して具と一緒に入れてきた。徹底した軽量化ぶり(鍋の〆として持ってきたアルファ米と生卵は使わずそのまま持って帰ってきた)。
鍋が沸騰するまで木陰でトイレをしようと新雪に入って行ったが、振り向くと鍋から煙が出ていたので途中で戻る。(確認すると煙ではなくただの湯気だった)
鍋の火を止める寸前に餅を投入。
鍋を食べ終えて空を見上げると、そこには悲しみの八ヶ岳ブルーが広がっていた。
下山は持病のコマネチが少し痛かった。厳冬期のテン泊はザックが10キロ以上になるので、その重みに耐えられなかったのだろうか?
高所恐怖症によるリタイヤをしてしまったので帰りの足取りは重かったが、早い時間だったので家に帰ってから焚火でもするかと、スーパーでマシュマロを買って帰る分には楽観的な私だった。
【コースタイム】
7:15 登山口出発
8:40 みどり池到着
10:00 峠の途中でリタイヤ
10:30 お昼
11:40 みどり池
13:00 登山口到着